NTU MBA
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Dさん/社費/FellowsMBA

はじめに

私はこれまで国内のメーカーに約12年間勤め、その間9年半は国内営業、2年半は事業企画の仕事に携わってきました。
事業企画の部署に異動してきてからは、それまで顧客や市場だけしか見ていなかったのとは異なり、会社全体をどのようにマネジメントしていくべきかという大きな課題に対して、自分の無力さを痛感しながらも必死に仕事に取り組む日々を過ごしていました。

とある日、MBAホルダーである当時の上司に「MBAとか考えてないの?」と軽く聞かれ、会社内に公募留学制度があることを思い出し、次第に応募しようかなと考えるようになりました。
私がそもそも大学卒業後に日本のメーカーで働こうと思った理由は、日本が誇ってきたものづくり産業の価値がグローバルな環境の中で相対的に落ちてきていると感じ、その価値を再び発揮出来るように貢献したいというものでした。
その思いが沸々と蘇るとともに、仕事を通じた感覚として、日本のメーカーは技術的に優れている製品を持っていたとしても、ビジネスモデルが弱いため、うまくその価値を発揮出来ないのではないかと強く思うようになってきました。
その課題に対して、MBAで体系的にビジネスを学ぶことが大きなヒントになるかもしれないと思い、公募留学へ応募、そして最終的に留学する機会を得ることになりました。

Why Nanyang FellowsMBA

検討当初は英語圏のビジネススクールを広く検討していたため、イギリス、アメリカを中心に、加えてシンガポールの大学もリストアップしていました。
そして最終的にはシンガポールにあるNTUのFellows MBAというコースを選択するに至りました。Fellows MBAはあまり知られておりませんが、業務経験8年以上の人を対象にしたフルタイムのMBAコースであり、フルタイム版のEMBAといった感じでしょうか。
NTU及びこのコースを選択した理由はいくつかありますが、主には以下の点です。

・1年間のコースである(会社派遣の条件)

・ 8年以上の業務経験を持つ人が対象のプログラムとなっており、また学生の平均年齢が30代半ば~後半と自分のキャリアと合っている

・アジア経済のハブであるシンガポールで学ぶことが出来る環境と純粋にシンガポールという国への興味

・3月にアメリカの3校のビジネススクール(UC Berkeley、Wharton、Georgetown)で学ぶプログラムが初めから組み込まれている

・家族を連れて行くので治安が良いところがよい

受験スケジュール

2015年4月           公募留学の候補者となったことの連絡受領

2015年4月           IELTS対策開始(~15年11月まで5回ほど受験)

2015年8月             GMAT対策開始(~16年3月まで4回ほど受験)

2015年12月           Essay、Recommendation準備開始

2016年1月~2月   出願

2016年1月~3月   Interview

2016年3月             合格

TOEFL / IELTS

英語の試験については、某予備校が開催しているTOEFLの模擬試験を初めて受けた際、Speakingの試験で一斉にみんなが話し始めたところで若干引いて(笑)、会話形式であるIELTSの方が自分に合っていると思い、こちらを選択しました。
4月から5月に短期的に予備校に通い、その後を独学するも一年通じてあまり伸びず苦労しました。

特に後半からは語彙不足であることが点数の伸びない一因であることに気付き、途中から語彙の増強を図りましたがちょっと遅かったように思います。
留学を少しでも考えているのであれば、語彙力アップだけは早めにやっておくべきでした。

GMAT

最終的にはNTUのFellows MBAがGMAT不要なので意味がなかったのですが、他の学校も併願していたので対策しました。

Verbalは予備校に通い、特にSentence Correction(以下、SC)、Critical Reasoning(以下、CR)を中心に勉強しました。
割いた時間の割には最後まで目標の点数に届かず、自分の力不足を感じました。
上述した通り、IELTSしかりGMATしかり語彙力が圧倒的に不足しており、その基盤を固めることが大事であったと思います。
ですが、GMATの勉強を通じて英文法に対する感度が上がったこと、また英語の論理構造に対する理解が深まったことはプラスだったと思います。

Mathについては満点ではありませんでしたが、それなりの点数だったと思います。
当方文系ですが、こちらはマスアカのテキスト一本に絞って対策をしました。これで十分です。

エッセイ

エッセイではなぜMBAを志願するのか、なぜこの学校なのか、Short Term Goal及びLong Term Goalは何か、またこれまでの実務経験を説明せよ、のような基本的なお題がほとんどだったと思います。
一通り、過去の先輩の例で雰囲気をつかんだ後は、とにかく正直に書くこと、個々のエッセイとエッセイ間で矛盾のないように書くことだけを注意しました。
この点が甘いと後々インタビューで面接官と話すときに必ずぼろが出ると思ったからです。そのために紙に書いてブレストしたり、その内容をまとめてみたりトライアルアンドエラーを繰り返して中身を練りました。
エッセイは書けば書くほどこなれた内容になってくるので、本命の学校の前に何度かエッセイを書く機会を持ったほうが良いと思います。
また致命的な文法ミスがないかどうかは、ネイティブの人にチェックしてもらいました。

推薦状

Recommendationは営業の時の上司と事業企画の時の上司にお願いして書いてもらいました。
それぞれ業務の異なる時の上司に書いてもらったほうが多少なりとも立体的に自分というものが伝わると思ったからです。
営業時代の上司には打ち合わせし、どのネタを入れるか相談させてもらいながら書いてもらい、事業企画時代の上司はMBAホルダーで背景を理解してくれているところもあったため、ほぼ相談なくともバランス良く書いてもらったと思います。
お願いする方によってアプローチが異なると思うので、気持ちよく書いてもらえるように事前に相談すると良いと思います。

インタビュー

こちらはSkypeでの実施となりました。事前に想定Q&Aを20個以上作成し、それなりにこなれて話が出来るように複数回話す練習をしました。
想定Q&Aを作ることで自分の考えが整理されること、また何を聞かれてもだいたい大丈夫と思えることが良かったと思います。
ただ実際Skypeで映像付きなのでカンペを見ながら話すことは出来ませんし、その内容をそのまま話すのではちぐはぐな受け応えになるので、回答のポイントを頭に入れることが重要だったと思います。

また、事前に2回程度ネイティブの方とSkypeで練習し、実戦の感覚が多少なりとも付いたことも効果的でした。
本番では焦らず、終始リラックスした雰囲気でインタビューを受けることが出来、手応えも悪くなかったと思います。

MBA生活

現在Trimester 2がちょうど始まったところです。
授業についてはもちろん英語でかなりの量とスピードで展開されるため、純ドメの私にとっては正直ハードです。
授業が詰まっている週は予習で毎日夜中の2~3時で起きていることも珍しくありません。

また、授業中やグループワークでシンガポール人やインド人などのネイティブ同士のディスカッションとなる聞き取ることさえ困難で、そうなると自分も発言出来ないという悪循環になり、悔しい思いをすることもしばしばです。
ただ逆にこのような厳しい環境に身を置くことは、自分自身の鍛錬の場としては非常に贅沢な環境だと思っております。
その環境下で、出来る限り自分は日本人であるからとか英語がいまいちだからと言い訳せずに(たまに言い訳したくなりますが)、とにかく腐らずに授業やグループワークで発言や参画しようとトライすること、これがMBAで学ぶにあたり個人的に大事だと思います。
多少発言でスベっても誰も気にしませんし、むしろ評価されます。

また、授業以外では24名の少人数制のコースというのもあってかコンパクトに和気藹々としています。
シンガポール人がローカルのおいしい店を紹介してくれたり、バーベキューを開催してくれたり、またTrimester 1の週末はほとんど飲みにいっておりました。
先日もクラスメイトとBusiness Study Missionでスペインのバルセロナに行って帰ってきたところであり、「大人の修学旅行? 社会見学?」をクラスメイトと楽しみました。
私は唯一の日本人ということもあり、みんな私だけ「さん」付けで呼んでくれるなど、仲良くやっています。みんな、いいやつばかりです。

また、その他食生活でもアジア料理はそもそも旨いのと、日本食もそれなりのレベルのものがシンガポールでは食べられるので、全く問題ありません(ちょっと高いですけど)。

メッセージ

MBA留学となるとまず欧米の歴史あるビジネススクールが目に入りますが、近年経済成長が著しいアジアのビジネススクールも十分魅力的な選択肢になっていると思います。
その中で、NTUのFellows MBAは私がかなり久しぶりの日本人の学生となりましたが、シンガポールやインターナショナルな学生に囲まれて、脳に汗をかきながら(たまに冷や汗も)ビジネスを学ぶことが出来るのは非常に貴重な経験です。
日本人が少ない分苦労することもありますが、その分グローバルな環境下でのサバイバル力も付くと思いますので、是非日本人のアプリカントの方にもぜひ興味を持ってほしいと思います。
ただ授業や課題、テストなどに追われて一年終えるのはそれでも力が付きますが、もったいないと感じ、私自身も最大限この機会を生かしたいと思っています。
自分が関心あるテーマについてのセミナーを受けたり、教授やクラスメイトと議論したり、そうすることで卒業後に自分に残るものが違ってくると思います。
MBA受験も同じくハードですが、社会人になって必死に勉強する機会もそうないと思いますので、是非頑張ってください!